大きく張り出した庇もデザイン性そのままで地震対策出来ます!
制振装置
庇のような片持ち構造は張り出しが大きいと固有振動数が低くなるため、地震が起きたときに変形量が大きくなり、思わぬ被害を生んでしまう可能性があります。ヤクモのTMD(制振装置)なら設計変更せずに揺れを抑え、安全性を確保します。
課題
某商業施設は大きな張り出しの庇とガラスのカーテンウォールが特徴的なデザインです(図1)。設計段階で構造強度に問題はなかったものの、張り出しが約13mと大きいため、固有振動数が低く、地震時に共振を起こすと変形量が大きくなり、仕上げのガラス等が破損する可能性が懸念されました(図2)。庇の下は店舗となっており人が歩くため、万が一に備えて、庇部分の揺れ対策が検討されることになりました。
対策にあたっては、下記2点を満たすことが条件でした。
- 解析に基づいて、地震時の庇端部と中央部の共振による上下振動を抑えること
- 設計変更は行わずにデザイン性を保つこと
図1.建物外観イメージ
図2.構造解析の結果
対策
構造的な設計変更をすることなく庇の共振を抑える対策として、TMDを構造体に組込むことに決定しました。構造解析の結果を基にシミュレーションを行い、庇端部3.8Hzと中央部13Hzの振動を抑えるTMDの最適調整値を算出しました。このとき、設計変更を行わないという条件を踏まえ、既存小梁の間に設置できるサイズで制振効果が出るように検討を行いました。
シミュレーションの結果、庇端部にマス質量360kgのTMDと中央部に120kgのTMD2台を設置することで、十分な効果を満たすことがわかりました(図3)。
図3.TMD設置個所
図4.TMD設置状況
結果
TMDの効果で、庇端部および中央部の振動を低減。対策無しの場合と比べて1/2以下に揺れを抑えることができ、地震時の安全性を確保しました。
図5.対策前後の庇の変位倍率