快適なオフィス環境を実現!ロングスパン床の歩行振動を防ぎます
制振装置
ロングスパン&無柱空間の開放的なオフィスは、歩行時の床揺れが問題となりやすいです。制振装置TMDを導入することで広々とした快適な執務空間が実現できます。
課題
近年、ロングスパンで柱の無い広々とした開放的なオフィスが人気です。このようなロングスパンの構造はたわみやすく(固有振動数も低くなり)、歩行時に床が揺れて不快感を抱く、集中できないなど執務環境が悪化することがあります。
某オフィスビルでは、約24mのロングスパンの床が特徴であり、歩行時の床振動が懸念されました。
図1.平面レイアウトイメージ
対策
梁せいを高くすることで揺れにくい構造にすることができますが、天井高が低くなってしまいます。ヤクモの制振装置TMDを設計時に導入しておけば、梁せいを抑えつつ、大スパンでも揺れにくい構造にすることが出来るため、柱が少なく天井の高い開放的な空間が実現出来ます。
各フロアにマス質量約1000kgのTMD4台をスパン中央部の桁梁内に設置しました。
まず、スパン中央部でかかと加振を行い、固有振動数の確認をしました。床A,Cは7.8Hz、床Bは5.4HzでTMDの振動数をこれに合わせ調整しました。
図2.TMDの外観(左)と設置状況(右)
表1.TMD基本仕様
結果
三人同調歩行を行い、日本建築学会の居住性能評価指針で評価し、制振効果を確認しました。
非制振時には、どの箇所もV-90を超えていました。これは90%の人が振動を感じ、かなり気になるレベルであり、事務所用途としては適さない状態でした。
制振時では、床A,Cにおいて振動が約1/2に収まっており、居住性評価もV-70となり事務所用途として良好な環境に改善されました。最も振動が大きかった床BもV-50程度に低減され、TMDによる制振の効果がよく発揮されました。
図3.TMDによる効果 三人共振歩行時の測定結果(床A、床B、床C)