高速道路からの交通振動が事務所に伝搬!制振装置で後から対策
高速道路からの交通振動が事務所に伝わり、床が大きく揺れて問題になっていました。OA床下に超薄型制振装置フロアメイトを敷き込むだけの簡単な設置作業で、大規模な工事などをすることなく、事務室用途として望ましいレベルまで振動を低減し、執務環境を改善しました。
課題
A社オフィスは鉄骨造2階建てで、高速道路下に建っています(図1)。交通量の多い時間帯では道路交通振動が建物に伝わり、2階事務室の床において振動レベル(L10)で68dBの揺れが発生していました。
これは多くの人が振動に気づくレベルです。また、居住性能評価指針(2004年版)に基づいて評価を行ったところ、V-90を大きく上回る結果となり、事務室用途としては望ましくないレベルであり、執務環境の悪化が問題となっていました。
図1.建物イメージ
図2.事務室概要図
対策
事前の計測で車両通過時の床振動は共振によって発生していることを確認していたので、共振による振動問題で最も効果がある制振装置での対策を行いました。
該当事務室の床仕上げは懐50mmのOA床であったため、OA床下に設置できる厚さ44mmの超薄型制振装置フロアメイト(FM)を採用しました。今回は対象床の有効質量の約4%にあたる4台を設置しました(図3)(図4)。
図3.フロアメイト設置状況 図4.フロアメイト設置箇所
まず、床中央でかかと加振を行い、床の固有振動数を確認したところ8.7Hz、9.3Hz、16Hzが卓越していました(図5)。
最適な制振効果を発揮するため、FM4台の振動数を3パターンに調整して、それぞれの効果確認を行いました(表1)。その結果、ケース2で約4dBの振動低減が確認でき、居住性能評価でも最も低減されていたため、ケース2にチューニングして設置しました。
図5.かかと加振した時の応答振動加速度測定結果
表1.振動レベル測定結果
結果
FMを設置することにより振動レベルL10値で約4dBの低減効果がありました。また、建築物の振動に関する居住性能評価ではV-90からV-70レベルとなり、事務所用途として良好な環境に改善されました。
図6.FMによる効果 車両通過時の床加速度