真空ポンプの稼働による床揺れが気になる!工場の作業環境を改善
工場2階に設置されている生産設備機械の稼働振動によって床が大きく揺れ、作業環境の悪化が問題になっていました。また、機械増設の予定があり、さらなる問題悪化も懸念されていました。そこで、制振装置TMDを設置して、振動を低減し快適な作業環境に改善しました。
課題
工場に設置されるような生産設備機械は加振力が大きく、振動問題が起きることが多くあります。一般的に1階や基礎スラブは剛性が高く、振動に対する変位量も小さいためあまり問題になりませんが、上層階では設置場所の剛性や質量が低いため大きな振動が起きやすいです。
某工場では、鉄骨造の2階に真空ポンプが設置されており、稼働時に床が大きく揺れて作業環境を悪化させていました。また、新たにポンプを増設する予定があり、さらなる振動問題が懸念されました(図1)。
図1.工場平面レイアウトイメージ
設計段階の構造解析においても6.9Hzに固有値をもつという結果が出ており、現地で測定をしたところ、おおよそ近い固有振動数であることが確認できました。一方、設置されているポンプの稼働条件は、約5tのポンプが410rpm (6.83Hz)、約7.5tのポンプが400rpm (6.67Hz)であることから、2種のポンプの稼働振動と床の固有振動数が近く、共振している状態であることがわかりました。
図2.構造解析結果
対策
対策として、床下にTMD(質量1200kg)を3台設置して振動低減を図りました。
図3.TMD設置状況
図4.TMD設置箇所
表1.TMD基本仕様
結果
設置後にV1、V2のポイントで床振動加速度を測定しました。ISO2631/2の評価曲線に照らし合わせて評価を行ったところ、環境係数4程度まで低減され、作業環境を大きく改善できました(図5)。
また、ポンプ増設後の効果をシミュレーションしたところ、TMDの制振対策によって、作業所の目安となる環境係数8程度となることを確認しました(図6)。
図5.TMDによる効果 床振動加速度の測定結果
図6.ポンプ増設時の床振動加速度シミュレーション結果