Example of seismic isolation measures for JMA supercomputer system
災害発生時にも稼働し続ける必要がある気象庁のスーパーコンピュータシステム。ヤクモの上下免震床をサーバー室に採用し直下型地震に備えています。
issue
気象庁の気象衛星センターでは、静止気象衛星「ひまわり」から送られてくる膨大な観測データが24時間体制で処理されています。このデータは天気予報・防災気象情報・気候変動の監視等に活用されており、巨大地震などの災害発生時にも稼働し続けなければなりません。そのため高度な免震機構が必要となりました。気象衛星センターのうち、スーパーコンピュータシステム本体を設置するサーバー室のある建屋は、震度6強の地震発生時にも建物機能を維持できる水平(2次元)免震構造になっていますが、この中のサーバー室は更に上下免震機構を加えて3次元免震化し、直下型地震に備える設計となりました。
ヤクモでは、江戸東京博物館などでの上下免震機構の実績を生かし、サーバー室を上下免震床構造とするプランを進めました。設計にあたっては、スーパーコンピュータシステムを直下型地震から守るための高い性能と長期運用における信頼性を両立する必要がありました。また、通常のデータサーバーに比べ高荷重(8t×6基)ですので、免震床の耐荷重についても検討が必要でした。要求事項をまとめると下記になります。
- 固有振動数1Hz~1.2Hz
- 必要ストローク±40mm
- 搭載荷重変更による性能の変化無し
- 告示地震波に対して応答加速度300gal以下
- 付帯設備のバックアップ機能
- 耐荷重10000N/㎡
特に上記1~3の条件に対応するため空気ばねメーカーと共同開発したダイヤフラム型空気ばね免震支承を採用しました。
counter-measure
ダイヤフラム型空気ばねは大きなストロークを確保しても空気ばね自体の高さを抑えることが出来、横方向に対する剛性があります。本件で開発した免震支承は、タンクを一体型にして減衰力を付与し、高さを自動で調整する機構を備えることで通常時の運用手間を省力化しました。また免震床1系統につき圧縮空気用コンプレッサーを2台交互運転させ長寿命化を図るとともに故障時のバックアップに使用できるようにしました。
result
免震床完成後は適切なメンテナンスを実施することにより建物と同等の期間使用できます。そのためイニシャルコストが無駄にならず環境負荷も軽減できます。