弾性波
外力を加えると、その大きさに比例した体積及び形状の変化が生じ、外力を取り去ると元に戻る固体が弾性体、その中を伝搬する波動が弾性波と呼ばれます。
弾性波は、体積変化を伴う体積波と、形状変化は生じるが体積変化は伴わない等体積波に分けられ、波の進行方向に平行に振動する波は前者で縦波(一次波(P波、Primary Wave)、圧縮波、疎密波 等)、波の進行方向に垂直に振動する波は後者で横波(二次波(S波、Secondary Wave)、剪断波 等)と呼ばれます。
図 縦波
図 横波
地盤の振動等では、体積変化への抵抗が縦波の原因で、形状変化への抵抗が横波の原因とされています。また縦波は横波よりも伝搬速度が速いことが特徴です。
無限大の弾性体中を伝搬するものは縦波と横波の2種で、実体波と呼ばれます。
一方、地盤のように地表面より下だけを弾性体とする半無限の媒質の場合、主に媒質の表面に沿って伝搬するものを表面波と呼び、その代表的なものがレイリー波(R波)と呼ばれます。
また表面波は他に、硬い基礎上に柔らかい表層がある場合、ラブ波という波が発生します。
1) レイリー波
2) ラブ波
これらの波を整理すると以下のようになります。
実体波
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縦波(一次波(P波)、圧縮波、疎密波、地震時おおよそ5~7km/s) |
横波(二次波(S波)、剪断波、地震時おおよそ3~4km/s※) |
表面波
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レイリー波(R波)
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ラブ波 |
※ もう少し地表に近い層(工学的基盤の上面)などでは数100m/s。
地盤の計測等で見られる振動は、上記の波の合成であることが多いです。
音波
音波は弾性波の一種ですが、そのほとんどは空気を媒質とするので、疎密の振動伝搬をする縦波のみとなります。
※参考文献
新・公害防止の技術と法規2016 騒音・振動編 公害防止の技術と法規編集委員会 編政府 地震調査研究推進本部 ホームページ